【1】是正勧告とは?

『是正勧告』という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
『是正勧告』とは、労働基準監督署が事業所に立ち入り調査をした際に、その事業所で労働法違反に該当する事実を確認した時に行われる《行政指導》のことをさします。

【2】従業員からの申告で調査が入ることもある

労働基準監督署の調査には、大きく分けて2つのケースがあり、1つ目が、労働基準監督署が無作為に事業所を抽出して事業所を回るケースです。そしてもう1つが、『労働者からの申告』を受けて、当該事業所を調査するケースです。後者では、『解雇やサービス残業』等のテーマが多く見受けられるようです。

【3】是正勧告の代表的な指摘事項

是正勧告でよく指摘される代表的な案件には、以下のようなものがあります。

是正勧告でよく指摘される項目

未払い残業代、労使協定書の未提出、賃金台帳の不備、就業規則未作成、定期健康診断の不備、雇用契約書等の未作成、法定労働時間の違反 等

ご参考事例:A社のケース

ある日突然、A社に労働基準監督署の職員による立ち入り調査が入りました。あまりに突然のことなので、社長が理由を尋ねても、担当者は教えてくれません。しかし、A社の社長には心当たりがありました。先月、会社を退職したB君です。B君が退職する際、これまでの【未払い残業代】をめぐってもめた経緯があったのです。恐らくそのB君が労働基準監督署に駆け込んだのでしょう。

調査の結果、『①B君を含めた2名について残業代が適正に支払われていないこと ②他の労働者についても残業代が適正に支払われているかどうか点検し、適正でない場合は、その差額を支払うこと』が書面で勧告されました。

その後A社では、社会保険労務士事務所の指導を受けながら適正処理をした結果、総額で数百万円にのぼる未払い賃金を支払う結果となりました。

【4】是正勧告を受けてしまった時の対応

是正勧告は口頭ではなく、『是正勧告書』という文書が交付される形で行われます。
是正勧告書には法令違反事項が指摘されており、勧告書を受け取った事業者は、指定期限日までに、問題指摘箇所の是正を行い、労働基準監督署に文書で報告する義務があります。

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